どなたでも1日に2~3回程度は歯みがきをしていると思います。

今回は磨き残しがないように歯みがきをするにはどうしたら良いかを考えてみたいと思います。

 

日頃、患者さんのお口の中を拝見していて、とてもきれいに磨けている方は少数派で、大多数の方は磨けていないところが多かれ少なかれあります。

つまり、きれいに磨けているところもあるが、磨き残しているところもあるということです。磨き方があまり上手くないのではなく、上手く歯ブラシが当たっていないところがあるということです。

 

簡単に言えば、自分の磨けていない場所を十分に把握していただければ良いわけです。もちろん、患者さんによって違いはあるのですが、共通する部分が多くあります。磨き残しが多い代表的なところをいくつかあげて、その対策を紹介していきます。

 

①奥歯の内側

どなたでも奥歯の内側は磨きにくいものです。特に下の奥歯の内側、さらに言えば利き腕側の下の奥歯の内側が磨けていない方がとても多いです。上の奥歯の内側も磨きにくいのですが、下の奥歯は内側にやや傾いているので難易度がアップします。

まず、この部分が磨きにくく磨き残しやすいということを理解していただき、毎回の歯みがきの時に気をつけることです。

そんなことはわかっていて気をつけて磨いているのに、磨けていないと言われてしまうけど、どうしたらいいかと悩む方は以下の二つの点に注意をして下さい。

・歯ブラシの当て方が上すぎないか?

このパターンは歯ブラシが内側にあたっているのですが、歯肉とのさかい目に毛先が全く当たっていません。毛先の半分くらいがかみ合わせの面にはみ出ています。毛先がかみ合わせの面にはみ出ないように歯肉の方に確実に当たるようにして下さい。

 

・歯ブラシの当てる角度が45°以下で0°に近くないか?

奥歯の内側を磨くときは歯ブラシの柄が前歯で邪魔になり、歯ブラシの歯面にあたる角度は直角(90°)にはならず、45°くらいになってしまいます。45°くらいであれば良いのですが、これ以上角度が少なくなると毛先で歯垢を落とすのが難しくなります。

このパターンは毛先がかみ合わせの面にははみ出てはおらず、歯肉とのさかい目あたりに毛先があります。しかし、歯ブラシの角度が0°に近く、毛束と歯の面がほぼ平行です。これでは、いくら毛先が歯肉とのさかい目にあってもダメです。

 

②上の一番奥の歯の外側

奥歯の外側はどなたでも一番磨きやすい場所です。ところが親知らずを含めて奥から1,2本の外側が磨けていない方が結構いらっしゃいます。

これは、筋突起と言われる下あごの骨が邪魔になって歯ブラシが入らないために起こります。口を大きく開けると頬が伸びて外側に広がりにくくなります。また、下あごの骨の一部である筋突起が前の方に回転しながら出てきます。すると第二大臼歯のちょうど外側あたりに来るので、やはり歯ブラシが入りにくくなります。

解決するには、奥歯の外側を磨くときには口を閉じ気味にして下さい。そうすると頬がゆるみ歯ブラシが入るスペースが大きくなります。また、筋突起が前に出てこないので、これも邪魔になりにくくなります。

 

③利き腕側の前歯の外側

一般的には右利きの方が多いと思います。すると、右側の前歯がよく磨けていないケースが見受けられます。左利きの方は逆に左側の前歯が磨けていないのです。

右利きの方が歯の外側を磨く時に、左の奥から前の方に順番に磨いたとします。一番奥歯から同じ歯ブラシの向きで少しずつ前に移動し、真ん中の歯あたりに来ると同じ歯ブラシの向きだと少しきつくなるので、歯ブラシの向きを無意識に反対に変えます。その時に磨いた隣の歯から磨けば良いのですが、少し飛ばして右の奥歯あたりから磨いてしまうことがあります。こうなると、利き腕側の前歯2,3本が磨けません。

この磨き残しを防ぐには、左側の奥歯を磨く歯ブラシの向きと反対側の奥歯を磨く歯ブラシの向きの両方でオーバーラップする様に磨く意識を持つことです。そうすれば、この問題は比較的簡単に解決できます。

 

④下の前歯の外側

前歯の外側は一番見やすい場所ですし、磨きやすい場所でもあります。しかしながら、上の前歯はきれいに磨けているのに下の前歯の外側だけきれいに磨けていない方います。

このケースは磨いていないのではなく、磨いているが歯肉に近い下半分に歯ブラシが十分に当たっていないのが原因のようです。

口を開けると同時に無意識のうちに下唇に力が入ってしまう方がたまにいらっしゃいます。下唇に力が入りすぎていると、歯ブラシを唇の力で上に押し上げてしまい、結果的に歯の上半分だけ磨き、下半分が磨けていないことになります。口を開ける筋肉は顎の下にある筋肉です。唇の筋肉とは全く別です。口を大きく開けても唇に力を入れる必要はありません。

下唇の力を上手く抜いて、歯ブラシが歯肉との境目に確実に当たるようにすれば良いのです。

 

⑤奥歯と前歯のさかい目の内側

これはちょっと上級編になります。

全体的にきれいに磨けているのに、この部分だけ少し歯垢が残っている方がいます。

奥歯の歯並びはほぼ直線ですが、前歯はゆるやかなアーチになっています。つまり奥歯の前歯の間にちょっとした角が出来ているのです。この内側の角の部分が磨き残されているケースです。

ただ、磨き方は上手な方なので、この角の部分を意識していただければ、すぐにきれいになります。どうしても磨きにくい場合は下の写真のように歯ブラシを当てると良いでしょう。毛先の付け根の部分だけを使うイメージです。

 

 

ほとんどの方に当てはまるのは

歯みがきの仕方が下手なのではありません。意識をしていないといつもきれいに磨けているところとそうではないところが出来てしまうということです。

たまに鏡で見ながら磨くなどのセルフチェックを心がけ、自分の苦手な部分を意識する習慣が出来れば、歯みがきが苦手ではなくなるはずです。

 

次回は歯ブラシの当てる力加減を中心にその他のポイントについてです。