超高齢社会のリアルー健康長寿の本質を探る
「健康長寿の本質を探る」とサブタイトルがついています。
西辻歯科医院のブログタイトルにもある「健康長寿」の本質に言及した書籍です。健康寿命の延伸を目標に掲げている日本ですが、この目標を達成するのは簡単ではないと。
健康寿命の反対は、不健康寿命です。不健康寿命が延びる原因として、好ましくない生活習慣があげられます。生活習慣の改善に、多くの方々が取り組んでいるにもかかわらず、健康寿命が延び悩む原因を著者は以下のように語っています。
「悪い生活習慣」が必ずしも原因ではないからである。私たちが努力し、つくり上げてきた社会経済的な豊かさや医療の進歩による国民の長寿化そのものが、不健康寿命の増大をもたらしている可能性が大きいのである。
著者は生活習慣改善が無意味であると言っているわけではありません。可能な限り好ましい生活習慣の実践しつつも、特に後期高齢者以降の年代には別の視点も必要だと。
(生活習慣の改善を中心に)予防に努力するのは、疾病の発症を先送りし、障害の発生を先送りし、あわよくば不健康寿命の期間を短縮し、死を先送りし、できるだけ穏やかな終末期を迎えたいからにほかならない。
ほぼ避けることができない医療や介護の受け方にも、心構えが重要だと。高齢になればなるほど、病気の完全治療を目指すことは困難になります。各個人の能力を見極めて、必要最低限の自立支援と、残存能力を最大限に引き出しすことに目標が変わってきます。
誰もが必ず迎える最後の時に向けて、自己決定権を持てることがポイントなのだと思います。
また一つの章を割いて、認知症の現状と課題が示されています。「認知症は予防できる」という節が最後にあります。ぜひご一読を。