エレベーターか!階段か!
公共交通機関などを利用していると、日常的に遭遇する選択肢。(選択肢として意識にのぼらない方も多いかも。)

日常的な階段昇降を、一種のインターバルトレーニングととらえ、実践しはじめて約5年が経過。
体感している効果を踏まえて、健康増進への意義をまとめなおしました。(この話題は今回で完結。)
2021-10-13 階段昇降が最高の運動?
2023-1-2 階段昇降が最高の運動?Part2
階段昇降がインターバルトレーニングとは?
以前のブログで「世界一効率がいい最高の運動」という書籍の内容から、階段昇降は日常生活内で完結できる、「最高の運動の一つ」だと紹介しました。

最高の運動と形容されているのは、HIITと呼ばれるトレーニング方法。
High Intensity Interval Training
高強度(High Intensity)の負荷がかかる運動と休憩を短い間隔(Interval)で繰り返すトレーニング(Training)。高強度インターバルトレーニング。
1990年代にアスリート向けのHIITメニュー「タバタトレーニング」が、世界的に主にアスリートに取り入れられるようになり、HIITは一気にメジャーになりました。
詳しくは
1日4分 世界標準の科学的トレーニング 今日から始める「タバタトレーニング」
現在ではアスリート向けトレーニングだけではなく、広く一般向けのトレーニングあるいは病院でのリハビリテーションなどにも応用されるなどまでに普及しています。
「世界一効率がいい最高の運動」ではHIITを「週に2、3回たった4分の運動をするだけ」と。
超短時間で、効果が高いのが大きな売りです。
ではなぜ階段昇降が、最高の運動(HIIT)の一つとなりえるのか?
さすがに週に2、3回の1、2フロアの階段昇降だけではトレーニングにはならない。
以下にポイントをまとめていきます。
最高の運動(HIIT)ポイント1(速筋線維に負荷)
2023-6-24 ウォーキングより片足立ち?
で話題にした「速筋線維を使う」。
筋力トレーニングが速筋線維を使うトレーニング。簡単に言うと、筋肉に疲労感を感じる程度の負荷をかけてトレーニングをする。結果として筋力向上が期待できる。
何フロア階段昇降を行えば、速筋線維に負荷がかかり、筋力トレーニングになるか?
運動強度はメッツ(METs)という単位で表します。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」に掲載されているメッツ表を見てください。

階段をゆっくり上がるが、4.0メッツ。
階段を速く上がるが、8.8メッツ。
一方で運動の強度は以下。

階段をゆっくり上がるが、卓球やラジオ体操と同じ。
階段を速く上がるが、ランニングやラグビーなどかなりハードな運動と同等。
昇降するフロア数もさることながら、昇降スピードも大きな要素になります。
筋肉にある程度の疲労感を感じる程度は必要です。
少なくとも3、4フロア以上。
このあたりは個人の体力レベルで大きく変わります。
同じフロア数でも、早く昇降する。あるいは一段抜かしで昇るなど工夫をすると、負荷を上げることができます。
負荷のイメージとしては全力の7、8割。
主観的な運動強度でいうと、「ややきつい」~「きつい」と感じる程度を目指すことが大切。ただ最初は、無理はしないようにしましょう。
最高の運動(HIIT)ポイント2(心拍数)
主観的な運動強度が「ややきつい」~「きつい」場合、当然ですが心拍数も上がります。
二つ目のポイントは高心拍数。

主観的運動強度と心拍数に関しては
2021-10-13 階段昇降が最高の運動? を参考にしてください。
主観的運動強度が「ややきつい」から「きつい」に移行していくと、会話をしながらの続行は困難。
会話ができる、軽く息がはずむ程度の運動強度が推奨されることもあります。もちろんこれはこれで正しい。
ただ最高の運動(HIIT)たるには、短時間でも会話が困難な高心拍数を経験することが核心ポイント。ここでも全力の7、8割以上が目安。
間違いなく心肺機能(持久力)アップに貢献します。
全編を通じて階段昇降と表現していますが、高心拍数を経験できるのは当たり前ですが、昇りに限られます。そして筋肉に直接的に疲労感を実感できるのも昇り。
階段を昇ることがもちろん要所。
しかし階段を降りる時には、筋肉には伸張性収縮という負荷がかかります。(筋トレ効果があります。)
昇ったら、必ず降りるはずです。
私は「昇り」と「降り」はセットと考えます。よって階段昇降という表現に落ち着く。
最高の運動(HIIT)ポイント3(インターバル)
最高の運動(HIIT)はインターバルをはさむ。
トレーニングにインターバルをはさむのは、トレーニングのボリュームを確保するため。
トレーニングとして効果を十分に得るのは、主観的運動強度が「ややきつい」から「きつい」と感じる時間が短すぎると難しい。
インターバルつまり一息入れると、もう少し頑張れる!
インターバルをはさんで、ある程度のトレーニングボリューム確保できると、効果が上がります。
日常的にはインターバルをはざまない、数フロアの階段昇降を実践するだけでも効果はあると思います。
筋肉に負荷がかかり、心拍数もそれなりに上がります。
しかし「最高の運動」として実践するには、前述したようにインターバルを入れた少なくとも8フロア程度の階段昇降が必要。
でも毎日実践する必要はない。
「世界一効率がいい最高の運動」では「週に2、3回たった4分の運動をするだけ」と。
しかし日常的にエスカレーターなどを使用しない生活が定着していれば
月に数回で十分。
これは約5年間での経験則です。

体感している効果
最も効果として体感しているのが、心肺機能のアップ。
下半身の筋力は、バーベルスクワットなどで筋トレをしていた頃に比べると落ちているとは思います。
しかし一般的な健康増進や自身の介護予防を考えると、十二分です。
実は体重が2kg減りました。
元々適正体重だと思っていたので、減量に意識は向いていませんでしたが、港区のスポーツセンターに足繫く通っていた時よりも、体重が減るとは・・・
驚いています。
HIITは超短時間というメリットがあるだけでなく、「有酸素運動」と「無酸素運動」両方の運動効果が得られる、一石二鳥の運動法・・・
世界一効率がいい最高の運動 はじめに より
HIITなら、有酸素運動(脂肪燃焼)と無酸素運動(筋トレ効果)を同時に達成できて、さらに個別のトレーニングよりも圧倒的に短時間で済むのです。
インターバルをはさんで、トレーニングのボリュームを確保することは大切です。
しかしあまり細かいことは気にせず、日常的に階段を利用することが肝腎。
階段昇降は都会で公共交通機関の利用頻度が比較的高い人にとっては、最高の運動。
日常生活内で完結できます。
タイパ(タイムパフォーマンス)最高。
おまけ
私自身の具体例を紹介します。

iPhoneに記録されたデータによると、1日平均16フロア昇っています。
1階は、約3メートル(約16段)の高度を上昇した時に記録されるようです。
外出をしなければ、1日3階程度のはずです。
週2~4回の会議での外出や週末の外出で、結果的に階数を稼いでいます。
一例をあげます。
東京メトロ三田線・南北線目黒駅地下ホームから、目黒アトレ1の5Fにある有隣堂までの移動中の心拍数の変化。(目黒駅から目黒アトレ1までの移動は地下。)
記録だと31m上昇なので、約10フロア昇ったことになります。

左が4年前で、右が直近。まったく同じ経路です。(いわゆるビフォーアフター)
ポイントは三つ。
- アフターの方が、最高心拍数が低い。
- アフターの方が、終了後の心拍数の低下が速い。
- アフターの方が、移動時間が短い。(直近は4分20秒で4年前は記録なし)
以前と比較して、明に心肺機能がアップしていると実感しています。スキーや登山をする体力はそれなりに維持しています。(十分でないのも事実です。本来であれば別途トレーニングが必要とも。)
日常的な階段昇降をトレーニングにすると、トレーニングのために時間を割く必要が無いのが、最大の魅力。
おまけのおまけ
実は先日、日常的な階段昇降以外にトレーニングをする機会に恵まれました。
歯科医師会夏季レクリエーションで「バスで行くベストコンディションで高尾山ビアガーデン」が企画されています。
この企画は高尾山麓まで貸切バスで行き、ケーブルカーで中腹に。そこから山頂まで往復して、ベストコンディションでビールで乾杯。
7月6日にこの企画の下見に行ってきました。

ケーブルカーで中腹まで行き、頂上往復の組と中腹での散策組に分かれての下見でした。
ただ私はわがままを言って、一人で1時間早く新宿を出発し、山麓から頂上まで6号路で頂上を目指しました。
コースマップでは100分の行程。
トレーニングのつもりだったので、オーバーペースであえて休憩を取らずに頂上を目指しました。(いつもの登山では30分に1回は休憩します。)
56分で山頂に到着。
その後は3号路で中腹に戻り、本隊と合流。今一度3号路で山頂。1号路で高尾山ビアガーデンまで下り、ビールで乾杯!

最初の6号路での登りの平均心拍数が156拍/分。
東京は猛暑日予報でしたが、最高のトレーニングができました。