この本は人生の最終盤である80歳以降を、自己決定権を持って、実りある生活を維持していくための指南書です。
80歳代は、残念ながら健康寿命が続いているとはいい難い年代です。仮に自立していたとしても、一つも持病がない方は、皆無ではないかと思います。
自らの老いを受け入れ、いくつかの持病と折り合いをつける。そして出来る事にフォーカスして、可能な限り幸せな晩年を目指す。ただそれには越えなければならない壁があるというのが、本書の要旨です。
大きな壁として挙げられているのが、「医者・薬・病院」です。歯科治療前に飲んでいるお薬を確認させていただいています。
めまいがするほど多くのお薬を飲まれている方も、珍しくありません。より健康になるための投薬だと思いますが、本当に健康に結びついているか疑問に思うこともあります。
80歳を超えると、動脈硬化がない人はいないと。認知症予防、がん予防を考えると、血圧や血糖値はむしろ高めにコントロールした方が健康になれると信じていると、書かれていました。100%同意しかねますが、一理はあると思います。
検査数値の改善のために、薬を飲む。日常生活の快適さを求めて、薬を飲まない。どちらを選択するか?特に80歳以降は、検査数値にとらわれず、日常生活の活動レベルを落とさないように最小限の薬にとどめるべきだと。
またタバコもやめる必要ないと。80歳までタバコを吸い続けて生き延びた人は、今更やめても寿命は変わらないからということのようです。禁煙で強いストレスを感じるのであれば、よいかもしれません。
血圧、血糖値コントロール不要や禁煙不要というのは、あくまでも80歳代以降の話です。少なくとも60歳代までは、血圧や血糖値のコントロールは必要です。もちろん禁煙にも取り組むべきなのは言うまでもありません。
70歳代はどうでしょう。この年代は移行期であり、人により大きな差があると思います。
もしご自身の健康状態が、80歳代寄りと感じるなら、本書を参考にすべきです。逆に60歳代に近いと判断できるなら、本書に従うのは早いかもしれません。
50歳以上の方には、とても参考になる書です。ご両親が80歳代に差し掛かるはずです。またご自身の老いへの準備となります。