子ども用の歯みがき剤

今回は小学校の歯科講話時の質問をとりあげます。

とりあげた質問は

・大人用と子ども用の歯みがき粉の違いはなんですか?
・何歳から大人用の歯みがき粉にすればよいですか?

子ども用の歯みがき剤

2023-4-30 フッ素入り歯みがき剤使用開始時期
とかぶる内容になりますが、改めてまとめなおしました。

(歯みがき剤と歯みがき粉はもちろん同じ。専門的には歯磨剤(しまざい)といいます。)

大人用と子ども用の歯みがき粉の違い

むし歯予防のためには、1日2回以上フッ素入り歯みがき剤を使って歯みがきをすることが大切。

フッ素は再石灰化を促進するため、フッ素入り歯みがき剤の使用は不可欠です。

脱灰と再石灰化とは

歯みがき剤はフッ素入りであることが、大前提。

チェックアップコドモ

当院で販売している子ども用歯みがき剤。(右のグレープ味のみを用意しています。)

パッケージから、一目で子ども用とイメージできます。

ちなみに味は果実系。フッ素濃度は950ppm。
子ども用と大人用の違いは、味とフッ素濃度

子ども用歯みがき剤は、果実系の風味づけが多いです。
一方で大人用は、ミントやシトラス系の清涼感が残るような味がほとんど。

味に関しては好みといってしまえばそれまでですが、一般的には清涼感が強い味は子どもは苦手です。

最大のポイントはフッ素濃度。

最新の「推奨される利用方法」を元に紹介いたします。
「4学会*合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」(2023年1月)
*4学会―日本口腔衛生学会 、日本小児歯科学会、日本歯科保存学会、日本老年歯科医学会

  • 子ども用歯みがき剤のフッ素濃度は950ppm(1000ppm)まで
  • 大人用歯みがき剤のフッ素濃度は950ppm(1000ppm)もしくは1450ppm(1500ppm)
大人用と子ども用の歯みがき剤(年齢なし)

「推奨される利用方法」では1000ppmまで及び1500ppmとなっています。にもかかわらず、なぜ実際に販売されている歯みがき剤は、950ppmや1450ppmと表記されているか?

理由は
・製造時のフッ素配合のバラツキ
・検査時のフッ素量測定誤差
これらを考慮して、それぞれの上限値を超えないようにするため

子ども用と大人用、フッ素濃度だけで見た場合、950ppmであれば、一家全員同じ歯みがき剤でOK?

その通りです。(味を考慮しなければ。)

ただ実際にはフッ素濃度だけではなく、使用量も大切な要素です。

そして大人とは何歳から?

何歳から大人用の歯みがき粉にすればよいか

何歳から大人用の歯みがき剤を使用すればよいか?
ズバリ6歳から!

大人用子ども用の歯みがき剤(年齢あり)

「推奨される利用方法」では

6歳以上から成人及び高齢者まで、同じフッ素濃度と使用量でOKとなっています。

つまり少なくとも小学生になっていれば、大人と同じフッ素濃度、使用量がスタンダードです。
(以前のガイドラインでは6~14歳と15歳以上とに分けられていました。)

6歳~成人・高齢者

2017年3月に国内において、フッ素濃度1500ppmまでの歯みがき剤が販売されるようになりました。

その折の厚生労働省からの通知文には、「6歳未満の子供には使用は控える旨」が記載されていました。裏を返せば、6歳以上はOK

2023年1月の「推奨される利用方法」は、この時の通知文とやっと整合性が取れるようになった訳です。

使用量に関して言うと、歯ブラシ全体となっていますので、子ども用の歯ブラシを使用している小学生と、大きめの歯ブラシを使用する大人とは若干違うはずです。

歯みがき剤は当たり前ですが食品ではありません。

飲み込みのではなく、吐き出すのが前提ですから、量に関してはある程度アバウトで構いません。

しかしながら十分な吐き出しが難しく、飲み込んでしまう可能性がある乳幼児に関しては、少し注意が必要

歯がはえてから2歳

歯がはえてから2歳くらいまでは、特に十分な吐き出しが確認しづらい。場合によっては甘い味を好んで飲み込もうとするケースもあるようです。

以前のガイドラインでは500ppmが推奨されていましたが、現在では1000ppmで問題なし。ただ使用量に関しては米粒程度(1~2mm)なっています。

飲み込んでしまうことも考え、まかり間違っても影響が出ない量です。多少アバウトでも大丈夫。

3~5歳

3~5歳でも以前のガイドラインでは500ppmでしたが、現在では1000ppm。使用量はグリーンピース程度(5mm)。量はこちらも大体で。

このように乳幼児において、フッ素入り歯みがき剤の使用量をセーブする理由は以下のブログで。

2022-11-26 フッ素のとりすぎはよくない

健康被害の恐れがあるというよりは、永久歯の前歯の審美障害の恐れがあるから。

ただ現在の日本においては、ほぼ無いといって差し支えないです。

歯みがき後の洗口は1回だけ

歯みがき後の洗口は1回で!

むし歯予防に絶大な効果がある、フッ素入り歯みがき剤の使用。

歯みがき後に。お口の中にわずかに残るフッ素が、再石灰化を助けるから。

せっかくフッ素をお口の中に入れても、歯みがき後に何回もゆすいで、フッ素を流してしまっては意味がありません。

お口の中に残るフッ素

歯みがき剤はしっかりと吐き出す必要はあります。

しかし洗口は少ない水で、1回!

お口の中にフッ素が残るように。

特にハロウィンなどのお菓子をいっぱい食べた日は。


おまけ

フッ素濃度500ppmのフッ素入り歯みがき剤もラインナップされています。

子ども用の歯みがき剤(500ppm)

以前のガイドラインでは500ppmの歯みがき剤が推奨されていたわけですから当然です。
(フッ素濃度が500ppmという基準値はないので、製品も500ppmです。)

全ての年代において、フッ素濃度1000ppmが推奨されています。私はこの歯みがき剤を、あえて使用する場面なないと考えています。
(当院でも販売はしておりません。)

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