今回のブログはショートバージョンです。10月31日のハロウィンイベント(白金・高輪商店会合同)で、西辻歯科医院でもお菓子を配ります。このアフターケアを兼ねた内容です。
お菓子をたくさん食べれば、むし歯になる可能性が高くなります。歯みがきが大切なのは言うまでもありませが、それだけではむし歯は防げません。
フッ素入り歯みがき剤をかならず使いましょう!
むし歯予防で大切なことは、フッ素入り歯みがき剤を効果的に使うことです。
フッ素入り歯みがき剤を効果的に使うポイントは次の二つです。
- 歯みがき剤の量
- 歯みがき後の洗口(口をゆすぐこと)方法
特に二番目が大事。
歯みがき剤の量
歯みがき時にフッ素をお口の中の隅々まで行きわたらせるには、十分な量が必要です。
歯ブラシに山盛りでは多すぎますが、歯みがき剤のチューブから、歯ブラシの毛束の長さ程度の量はだしましょう。
【小児の場合は不用意な飲み込みなどによって、フッ素を過剰に取りすぎないように、以下の表の使用量を参考にしてください。
ただ日本では、フッ素の全身応用(水道水のフッ素添加など)は行われていないので、多少アバウトでも大丈夫です。(諸外国の水道水フッ素添加が行われている地域では、特に6歳未満では表のような使用量が厳しく適用されています。)】
【 】内は2022年11月6日追記
歯みがき後の洗口方法
歯みがき後の洗口方法が、最も効果を左右する、最大のポイントです。
15㎖程度の少量で、1回だけ口をゆすぎます。少量洗口といいます。15㎖というと、大さじ一杯の量です。かなり少ない。
実際にはもう少し多くてもよいですが、洗口の回数は1回で。2回、3回とゆすぎたい気持ちはわかりますが、可能な限り1回にとどめましょう。
口をゆすいだ後に、歯の表面だけではなく、歯肉、頬や唇の内側、舌の表面に低い濃度のフッ素が残ることにより、むし歯予防になります。
普通に水を口いっぱいに含んで、何回もよくゆすぐと
口の中に残るフッ素はわずかです。
少ない水で、1回だけの洗口では
口の中に残るフッ素が多くなり、むし歯を予防してくれます。
なぜフッ素入り歯みがき剤が大切か?
なぜフッ素入り歯みがき剤がむし歯予防に大切か説明します。下のグラフを見てください。
約35年前の12歳児の一人当たりのむし歯数は、4.58本でした。最新の統計である昨年のむし歯数はなんと0.63本です。1/7以下に減っています。
一方でフッ素入り歯みがき剤は35年前では、全体の10%程度でとてもマイナーな存在でした。現在のフッ素入り歯みがき剤のシェアは、91%となっています。ドラッグストアで何げなく手に取る歯みがき剤は、ほとんどフッ素入り歯みがき剤です。
日本だけでなく、世界的にむし歯数は減少しています。日本を含めて世界的にむし歯が減ってきている最大の要因は、フッ素入り歯みがき剤が普及してきていることです。
なぜフッ素がむし歯を予防するか?
むし歯菌(ミュータンス菌)が作った酸によって、歯からミネラル分が溶け出すことを、脱灰といいます。そしてだ液中のミネラル分が歯の結晶に戻ることを、再石灰化といいます。
むし歯菌は、飲食した時の糖から酸を作ります。つまり食事や間食、甘い飲料を飲んだ時はむし歯菌が作った酸により、必ず脱灰がおこり、それ以外の時に、再石灰化がおこる。
ふつうは脱灰と再石灰化の均衡がとれているはずで、むし歯にはなりません。
ところが間食が多く、脱灰する時間が長いとむし歯になるリスクが高くなります。
つまり
脱灰>再石灰化 → むし歯
フッ素は再石灰化をアップする働きにより、むし歯予防の効果を発揮します。
再石灰化をアップするには、十分な量の歯みがき剤を使い、少量洗口。
ハロウィンの日は脱灰が多くなります。
フッ素入り歯みがき剤を効果的に使い、再石灰化を多くして、むし歯を予防しましょう。
詳しくは
2017-3-3 歯みがきができていれば、むし歯にならないか?
2021-6-17 25年間、愛用している歯みがき剤
2022-1-5 なぜ、フッ素が再石灰化を促進するか?
おまけ
むし歯予防の中心は次の三つで、どれ一つとして欠かすことはできません。
- 歯みがき
- 正しい食生活(脱灰≦再石灰化)
- フッ素入り歯みがき剤の使用
フッ素だけに頼るのではなく、1.と2.もとても大事です。