キシリトールガムの効果(今昔)

韓国の人気ヒップホップグループBTS(防弾少年団)が、キシリトールガムのCMに7月から登場しました。

日本でキシリトールガムが発売されて、20年以上が経ちました。

キシリトールのむし歯予防効果についての考え方は、発売当初と現在では異なります。

今回はキシリトールガムの効果を、確認をしていきます。

キシリトールガムは、むし歯予防になる

キシリトールは糖アルコールの一種で、砂糖と同じくらいの甘さのある、甘味料です。


白樺の木の成分から作られます。実際には天然の白樺から作られるのではなく、工業的に生成されているようです。天然のものと分子式が同じなので、両者の差はないとのこと。

キシリトールは日本では1997年に、安全な食品添加物として認可されました。そしてロッテからキシリトールガムが発売され、それ以降さまざまな製品が登場し、現在にいたっています。

キシリトールの最大の特徴は、砂糖のようにむし歯菌が酸を作らないことです。つまりむし歯の原因になりません。

むし歯菌により酸を作らないのは、糖アルコールの特徴でもあります。エリスリトール、ソルビトールなどの他の糖アルコールも、同様にむし歯の原因になりません。
ただ甘みはキシリトールに比べると、他の糖アルコールは少なめです。

キシリトールガムは効果の大きさは別にして、むし歯予防効果はあります。

なぜ、キシリトールガムはむし歯予防になるのか?

キシリトールのむし歯予防効果について確認をしていきます。

キシリトールの効果とキシリトールガムの効果は、同じとは限りません。
キシリトールの効果とは、キシリトールという糖アルコールの効果。キシリトールガムの効果とは、キシリトールの効果だけではなく、ガムをかむという行為がプラスされての効果です。


この前提をご理解いただいて、この後をお読みいただけると幸いです。

キシリトールの効果とキシリトールガムを嚙む効果は異なる
キシリトールの効果とキシリトールガムを噛む効果は同じではない

キシリトールが安全な食品と認可された前後から、キシリトールのむし歯予防効果の理由として以下の5つが挙げられていました。

  1. むし歯の原因になる酸を作らない
  2. ガムをかむことによって、唾液がたくさん出る
  3. むし歯菌(ミュータンス菌)をふやさない
  4. 歯垢(プラーク)を少なくする
  5. 脱灰を防ぎ、再石灰化を促進する

キシリトールガムの発売以降、キシリトールの効果を確認するために講演会を受講し、当院でもキシリトールガムとタブレットの販売もしておりました。(現在は販売しておりません。)

当初は上記の1~5の理由で、むし歯予防に効果があると考えられていました。

ところが2000年代後半に出された論文などから、キシリトールガムのむし歯予防効果のほとんどは、2のガムをかむことによって、唾液がたくさんでるからであると結論づけられました。

3~5の理由が完全に否定されたわけではありませんが、理由としてあげるには無理があるようです。
言い方をかえると、キシリトールの効果というよりは、砂糖が入っていないガム(シュガーレスガム)をかむ効果ということです。

つまり現在のむし歯予防効果の理由は、キシリトールの効果ではなく、キシリトールガムを噛む効果として、以下のようになります。

  1. むし歯の原因になる酸を作らない
  2. ガムをかむことによって、唾液がたくさん出る
  3. むし歯菌(ミュータンス菌)をふやさない
  4. 歯垢(プラーク)を少なくする
  5. 脱灰を防ぎ、再石灰化を促進する

唾液がたくさん出ることによって、再石灰化が促進されるので、むし歯予防効果があるのです。

シュガーレスガムの甘味料としては、キシリトールがたぶん最適なのだと思います。(砂糖と同程度の甘さ、コスト面など)
キシリトールでなくても、他の糖アルコールでも同様の効果があるのです。

3~5の理由があることによって、キシリトールのむし歯予防効果が注目されていた部分が多々あります。
私もこの部分に注目していた一人です。

発売当初とキシリトールむし歯予防効果の理由が、異なることがはっきりしてきた時点で、医院でのキシリトールガムの販売を取りやめました。

いつかむのが効果的か

なぜ今回ブログでキシリトールガムを取り上げたかというと、学校歯科医をしている小学校での歯科講和がきっかけです。歯科講和後に児童からの質問を受け付けています。


この質問のうちの一つに、「Q. キシリトールガムはいつ食べるのが効果的か?」が。

2012年までは歯科講和でも、フッ素と同じように再石灰化を促進するなどの理由で、キシリトールガムを紹介していました。しかし2013年以降は歯科講和では、紹介をしていません。
もちろん今年も、キシリトールガムの話はしていません。

それにもかかわらず、キシリトールガムについての質問がでた!
むし歯予防のアイテムの一つとして、いまだにそれなりに興味をもたれている証拠と感じました。

そしてBTSのキシリトールガムCM出演を目にして、キシリトールの効果をまとめることにしました。

「Q. キシリトールガムはいつ食べるのが効果的か?」の回答は次のようにしました。

「A. キシリトールガムをかむことは、どうしても必要なことではありませんが、むし歯予防になります。効果的なタイミングは、食後や間食の後です。」

ガムをかむことによって、唾液がたくさん出れば再石灰化がさかんにおこります。
食後や間食の後にかむことが、効果的といえます。
キシリトールむし歯予防効果の変遷ついても、簡単に書きそえました。

むし歯予防に本当に必要なこと

キシリトールガムにむし歯予防効果はありますが、大きなものではない。
そしてキシリトール自体には、あまりむし歯予防効果はありません。

キシリトールガムを噛むことはよいことですが、他のむし歯予防の行動を省略できるものではありません。
この点が最大のポイントです。
あくまでも補助的な役割にすぎません。

むし歯予防の中心は次の三つで、どれ一つとして欠かすことはできません。

  1. 歯みがき
  2. 正しい食生活(脱灰≦再石灰化
  3. フッ素入り歯みがき剤の使用
むし歯予防に必要な三つの行動
(むし歯予防に必要な三つの行動)1.歯みがき2.脱灰が多くならない食生活3.フッ素入り歯みがき剤の使用

1.歯みがき

いうまでもありません。むし歯菌などの塊である、歯垢(プラーク)を落とすことは必要です。キシリトールガムを噛んで、歯みがきを省略することなど、あり得ません。

2.正しい食生活(脱灰≦再石灰化)

1日3回歯みがきをしても、頻繁な間食や甘い飲料を飲む習慣があると、むし歯になる可能性が高くなります。

2017-3-3 歯みがきができていれば、むし歯にならないか?

3.フッ素入り歯みがき剤の使用

1994年に、「フッ素入り歯みがき剤の使用がむし歯予防の最有力手段である」と強い推奨が、WHOから発表されています。
美味しい料理やスイーツにかこまれた現在の食生活では、フッ素入り歯みがき剤の使用は欠かせません。

2017-3-20 最も効果的なむし歯予防法

2021-6-17 25年間、愛用している歯みがき剤

三つの行動をしっかり実施した上で、+αの効果を求めて、キシリトールガムを嚙むことが正解です。

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